工場で働いて2年が経った頃、
なぜだか私はビジネス・マインドにかぶれていました。


独立開業するならいつまでも作業職に留まっていてはダメだ。
マネジメントを学べる場に自らを置かなくてはならない。
一度正社員として就職して現場で勉強するべきだ。


・・・愚の骨頂とは正にこのことです。


独立開業の情報に触れている間に、
本来の「一人でできる仕事」という目的の比重を下げてしまっていたのです。


ここでまた運命?が私にイタズラをします。


たまたま見ていた新聞の折込求人紙で
大手チェーン書店の正社員の募集を見たのです。
つくば市に新しく出店するので、現地採用で補充をするようでした。


以前の私ならこれに応募するようなことはなかったはずです。


本は好きだったとはいえ、
それと書店を運営することは全くの別物だということを
大学で学んでいたわけですし、
店舗スタッフ間の人間関係に加え、
接客という厄介な仕事があるわけです。


普通に自分の歴史を踏まえて考えれば、
絶対に関わってはいけないはずの求人情報です。


それなのに、応募してしまったのです。


理由の一つはタイミング的なもので、
上記のように私がビジネス・マインドにかぶれていた時期であったこと。


もうひとつは、未練です。


実はこれが一番大きかったと、
皆さんには正直に白状しておきます。


神童→生徒会長→超進学校→日本で唯一の図書館情報学専門の単科大学→書店員
という受け入れられやすいレールにもう一度乗れるチャンスが、
突如目の前に現れたのです。


歪んだ自尊心がまた私に語りかけてきました。


全てをチャラにできるぞ、と。
全国展開している書店の正社員となれば、
故郷の家族にも近所の人たちにも友人にも顔向けができるじゃないか。


そして、何と受かってしまったのです!


学歴も中退→通信制大学=7年間大学生で、
職歴もアルバイトと契約社員、年齢も当時27歳ですよ?


・・・運命のイタズラと言わざるを得ません。


喜びと後悔がごちゃまぜになって、何とも言えない気分でした。
久しぶりに親に連絡をして、採用を告げました。


その時は少しほっとしたことを覚えていますが、
やはり不安は拭えませんでした。
だって、絶対に向いていないんですから・・・。


そして不安は的中します。


まったくもって適性がありませんでした。
結局9ヶ月で辞めてしまいます。


ただ、未練にほだされたこの就職で得たものが二つあります。


一つは、仲間です。
気の合うスタッフが多かったです。
職場の人間とこんなに仲良くなったのは初めてですし、
私の人生で今が一番他人との繋がりがあります。


これにはかなり驚いています。


もう一つは、私を完全に追い詰めてくれたことです。
前述の通り、作業職もドライバーも一人でできる仕事ではありません。
それで独立開業を目指しましたが、
その錯誤には在職中に『プチリタイヤ』が気付かせてくれましたし、
本や正社員、無難なレールに対する未練もさすがになくなりました。


つまり私に残された道は、ネットで一人で仕事をすることであり、
情報起業やアフィリエイトを成り立たせること以外にないのです。
もう他に逃げ道も抜け道もありません。